我々薬剤師にとって健康食品の位置付けはどうなのでしょうか?
私も、ここ4~5年前までは、健康食品なんて効かないし、値段も高いし、全く勧めてはいませんでした。しかも、身近にあっても殆ど飲みませんでした。やはり、医療用医薬品の方が効くと思っていてカゼなどで調子が悪いと棚からこっそり拝借しては服用していました。患者さんも医者からもらった薬しか飲まないという人も多いのではないでしょうか?
そんな私が、健康食品に目覚めたのは、3年前に東京の先輩の薬剤師さんの勧めで入会したAGA(麦緑素研究会)がきっかけでした。主に青汁を勉強する会ですが、青汁一つとっても、とても奥が深い!作り方や、添加物の違い、原料の違いなどによって味や、効果が全然違うことが分かりました。では、青汁の効果って、あるのでしょうか?
あくまで食品なので、効果を宣伝することはできません。
健康産業新聞(2016年8月17日号)によると、青汁市場は前年比9%増の推計1,010億円(小売りベース)、8年連続で成長し、1,000億円の大台を突破したとの事です。スーパーフードブームに伴いグリーンスムージーなど新顔も市場の追い風となっており、今年の市場も堅調に推移することが期待されています。また、8月から総務省統計局の“消費者物価指数”に「青汁」が追加されました。ただし、粉末タイプで、通信販売されている青汁限定です。背景には高齢化や健康志向の高まりから、健康食品の需要増が予想される中で、健康食品の価格動向をより正確に把握する狙いがあるとの事。
他にも、目にいいと言われるルテイン、あのラ〇ザップでもサプリメントとして販売しているALA(5-アミノレブリン酸)、大豆イソフラボン由来のエクオールやオルニチンなど次から次へと販売されてきています。
健康食品は、健康な生活を送るうえで必要なのでしょうか?
「健康のためには粗食が一番!」と思っている方も多いかと思います。65歳以上の高齢者の5人に1人が低栄養傾向にあると言われています。
低栄養とは、エネルギーとたんぱく質が欠乏した状態、健康な体を維持し活動するのに必要な栄養素が足りない状態です。低栄養状態は自覚しにくく、自分が気付かないうちに進行していることが多いため、注意が必要です。
低栄養になりやすいケース
- 体調不良やストレスによる食欲低下
- 味覚が変化した
- 食事療法をしている
- 油やたんぱく質を控えている
- 粗食である、食が細い
- 高齢者だけの一人暮らし、二人暮らし
- 食べ物の好き嫌いが多い
- 買い物が不便
- たくさん薬を飲んでいる
- この6ヶ月間に体重が3kg 以上減った
低栄養状態が続くと、筋力の低下(サルコペニア)や体力、免疫力の低下が起こり、これをきっかけに、運動能力や気力が低下し、転倒、骨折、認知症を誘発することがあります。(フレイルといったりします。)低栄養状態が進行してからでは回復に時間がかかりますので、毎日の食事が重要になります。
そこで理想的な食習慣というと、中年期に発症しやすい肥満・高血圧・糖尿病などの生活習慣病予防のための食事を考えがちですが、高齢期では食事できちんと栄養を摂ることが大切です。
肉、卵、油脂類を口にするのを避ける、摂取カロリーを極端に制限するといった食事は、低栄養状態になり、心疾患、骨粗しょう症などの病気、認知症の悪化を招くため、むしろ悪影響です。
また最近では、「トクホ(特定保健用食品)」に加えて「栄養機能食品」とういうものも認められました。現在、健康の維持増進等を助ける働きをするように思わせる食品が多く流出していますが、保健の効果を表示できるのは「トクホ」だけ、栄養成分の機能を表示できるのは「栄養機能食品」だけです。
食品は医薬品とは異なります。利用する人が、食品と医薬品の役割の違いやそれぞれの食品の制度をきちんと理解して使用することが必要です。
保健機能食品の位置づけ
栄養機能食品って何?
栄養機能食品とは、高齢化や不規則な生活により1日に必要な栄養成分をとれない場合など、栄養成分の補給を主な目的として摂取する人に対して、その栄養成分の機能の表示をしている食品です(マークはありません)。食事から必要な栄養素を十分とることができない場合の補助として利用するものだということを十分に理解した上で、使用するようにしましょう。
栄養機能食品は、トクホと同じ「保健機能食品」という制度に位置づけられていますが、トクホとは違い、個別に消費者庁長官の許可を受けている食品ではありません。国が定めた栄養成分の規格基準に一つでも適合していれば製造業者等が各々の責任で「栄養機能食品」と表示し、その栄養成分の機能の表示をすることができるというものです。「栄養機能食品」と表示してあっても、すべての栄養成分がバランスよくとれるわけではありません。「その商品で、どの栄養成分がどれだけ補給できるのか?」まず、表示をよく確認して選ぶようにしましょう。
特に複数の商品をとるときには、特定の栄養成分の過剰摂取にならないように注意することも大切です。
食生活は、(特に高齢者は)主食・主菜・副菜を基本にバランス良くしっかりと摂って、不足しやすいビタミンやミネラル、水分を健康食品で上手に補うのも良いでしょう。かかりつけ薬剤師として、食事の摂取についてアセスメントし、上手に健康食品を使って、薬に頼らない生活をアドバイスできるのも必要になってくると思います。
もちろん自分が健康でなければ、いい指導はできません。副作用のある化学合成品の薬で病気になってから治療するのではなく、自然の食品で病気にならないように自然治癒力を高めることを推進するのは、いかがでしょうか?
ゆず薬局・池田友紀 会報39号掲載